だが、彼にしてみれば当然の反応だろう。


彼女と付き合い出してから2年。


決してモテなくはない彼が日向子一筋に愛を育んできたのだ。


しかも大学卒業を間近に控えた今
不安ながらも順風な社会人生活が描けていたに違いない。


それなのに、だ。
突然の別れを切り出されたのだ。
しかも、まるで納得のいかない理由で。


まさに晴天の霹靂とはこの事だと知りたくもない状況で味わっている。


貴文は一呼吸入れて気を取直すと付き合い当初を思い返してみた。


たしかに付き合う前に条件は出された。
ただそれは、意志の強さや誠意を測る為であって
まさか、本当の事だなどとは誰も思わないのではないか。


事実、二人はうまくいっていた。
少なくとも貴文の中では将来を見据えられる仲だったはずだ。



賑わう目の前の光景が嘘のようにベンチの空気だけがどんよりと重い。





ベンチだけ時が止まったままだ。