「ハァ!?
 何言ってんだ、お前。
 運命、運命って…
 何を根拠に言ってんだよっ。」



「根拠?…根拠っていうか…
 これは、運命なの。
 
 ね、貴文…お願い、わかって」



「そんなもんわかるわけねぇだろ
 何なんだよ、これ…」



押し問答は平行線を辿った。


それもそのはずだ。
日向子の雑な説明では埒が明かない。


貴文はヤケ気味に背もたれに体を預けて天を仰いだ。


しばし休戦といったところか。


ギリギリだが何とかまだ自制できているうちにと思ったのだろう。


このまま続けても過熱するのは目に見えている。
一旦クールダウンして落ち着いたほうが得策だ。


とはいえ、停戦しただけで状況が変わったわけではない。


日向子の毅然さぶりは貴文の次なる手を暗に阻んでいる。


俊巡したあげく、貴文は結局肩を落として項垂れる他なかった。