――運命の男!



ララのメールには年齢は不明とあった。


もしかしたら、彼が運命の男なのかもしれない。


だとすれば、彼の前ではまだ失態は演じていない。


こちらにとっては好都合だ。


そう思っていると、彼は立ち上がってスーツの前を留めると、デスクの前まで歩を進めた。


その歩く立ち振る舞いもシャキッとして無駄がない。
デキる男という感じだ。


咳払いを一つ入れて、彼がスピーチを始めた。



「ネット販売事業部の大和武(やまとたけし)です。
見ての通り若輩者ながらネット事業部長を任されております。
まぁ、年齢は君たちとさほど変わらないが、中身は名前の通り、古風な男です。」



なんて堂々としているのだろう。


胸を張った姿勢がまた凛々しい。


短い挨拶の中でも4人と視線を交わす辺りが統率している立場を表している。


最後に目を合わせた日向子は捕えられた獲物だ。


否応なしに釘付けにされている。


隙のない鋭さの中にも温かみが感じられる瞳は一撃で日向子を撃ち抜いた。


まさに理想の男!



最初の挨拶で新入社員の緊張を解す冗談を交える辺りにも懐の深さが感じられる。


胸の中で何かが沸き上がるのを感じずにはいられなかった。





しかも、イニシャルは…





T·Yだ!