無愛想に名前だけを言うと、彼はまた姿勢を戻してしまった。
――やながわ たつや…
――T·Yだ!
やっぱり、彼は運命の男だった…
日向子はガックリと肩を落とすと自分の席へと戻って項垂れた。
その後の説明会やら研修の日程やらはほとんど記憶にない。
運命男、達也にどう謝ろうかとそればかりが俊巡していた。
といっても自分が謝る必要は全くないのだが…。
「村上日向子
配属…ネット販売事業部!」
不意に自分の名前を言われて我に返ると既に配属先の発表が始まっていた。
日向子は第1希望通りネット販売事業部に配属された。
新入社員は配属先の希望を3つまで申請できることになっている。。
勿論、すべてが希望通りとはいかないが、希望できるというのは良いシステムだ。
そしてさらに1ヶ月後に再度部署変更希望を出すことが許されている。
社員のモチベーションを上げるためと適材適所に配置するためだ。
だがそれは研修の成績優秀者とその後の勤務態度が高く評価された者のみらしい。
それでも他の会社に比べれば、かなり融通が利く感じだ。
配属先が決まり、ホッとしたのも束の間、彼の名前が呼ばれて日向子にまた緊張が走った。

