「いっ…痛っ!?
 何?、お前…何なんだよ?」


清和の悲鳴が聞こえる。


何事かと頭を上げると、運命男が清和の手首を掴んでいた。


清和の顔が苦痛に歪んでいる。



「こいつ、俺の彼女なんだけど…何か用?」



予想だにしない事に体が動かない。


思いがけない彼の行動を日向子は固唾を飲んで見守る他なかった。



「痛っ…離せよ。痛てぇって…」



苦痛に悶えて、体が弓なりになっている。

完全に戦意を喪失したのを見て、清和はようやく解放された。


放されるや否や舌打ちして、清和は逃げるように会場の外へ飛び出していった。



――え!?…何で?



――守ってくれた…の?




突然の事に日向子は唖然として立ちすくんでいたが、我に返ると「すみません」、と頭を下げた。



「くだらねぇ男と付き合ってんだな、お前。」



と彼はボソッと呟くと何事もなかったかのようにまた席に着いた。



――最悪だ…



せっかく運命の男に出会えたのにこんな事になるなんて…。


いや、待てよ。


まだ運命男と決まったわけじゃない。
とりあえず名前を訊かなくては…



「あの……貴方の名前を教えてもらってもいいですか?」



彼は無表情で振り返って答えた。






「柳川達也だけど…」