「……っ!?」


突然の日向子の言葉に貴文は耳を疑った。


「え!?…今、何て言った?」


「だから、私たち、もう終わりに
 しようって言ったの。」


恐る恐る訊き直した貴文に日向子はキッパリと言い返した。

呆気にとられている貴文とは対照的に日向子はためらう様子もなく、かといって悲壮感に包まれているわけでもない。

むしろ、その瞳は輝きに満ちている。



「な…何で、急にそんなこと…
 俺が何かしたわけ?」



「ううん…何もしてないわ。
 誤解させたら、ごめんなさい。
 貴文は何も悪くない。
 でももうこれ以上は無理なの」



「だから、何でなんだよ。
 意味わかんねぇ~よ」



「だから、貴文は悪くないの。
 嫌いになったわけでもない。

 でもね、これは運命なのよ。

 それに付き合うのは卒業までっ
 て条件だったはずよ。」



「そ、そりゃ、そんな約束もした
 けどさぁ……だからって…
 
 それに…運命…って何だ!?
 俺の他に男でもできたのか?」



「そんなことない。
 今は貴文のことが一番好きよ。
 
 でも運命には逆らえないの。」