とうとう運命の朝が明けた。
目が覚めた日向子は普段通りにキッチンに向かいお茶を煎れた。
浅蒸しのサッパリとしたお茶だ。
日向子は朝だけはお茶を煎れる。
これもまたララのお告げだとは言うまでもない。
お茶を煎れていると日向子の手が止まった。
茶柱が立っている!しかも2本!
運命の日にこれとは幸先が良い。
神や迷信まで信じる気はさらさらないが、この際縁起物なら何でも来い、だ。
小鳥のさえずりも心なしか祝福してくれているように聴こえる。
日向子は気分良く洗面台へと向かった。
メイクは薄く気持ち控え目にした。
そもそも目鼻立ちがはっきりとしている為にキツく見られがちでもある。
新入社員なんだし目立ち過ぎても先輩方に目をつけられるだけだろう。
「よし、完璧!」
鏡に映る自分に太鼓判を押すと、日向子は元気良く玄関のドアを開けた。

