麻里絵はへの字に口を曲げると、



「そりゃ、失敗はしたくはないけど…」



と小声になりながら反撃の糸口を探している。



「ほら、そうじゃない。

 私は失敗はもうしたくないの。

 やっぱり、最初から運命の男と付き合うべきなのよ。」



「じゃあ、貴文君とは?
 何で2年も付き合ったわけ?」



「それは…その…予習というか…
 あ?…そう!予行演習よ」



「予行演習?」



「そう!

 せっかく運命の男と出会えたとしても私が経験不足だった為に失敗するかもしれないでしょ?

 だから、予行演習をしてたの。
 しかも、念入りに2年も…ね」



「ひっどぉ…

 それじゃ貴文君があんまりじゃない…」



「だから、付き合うときに条件を出してたのよ。
 卒業までしか付き合えないけどそれでいい?ってね。」



「じゃ、好きだって気持ちは全くなかったの?」



「最初はね。
 でも段々好きになっていって…
 最後は心底愛してた。」



「でも、別れたの?
 愛してるんだったら、そのまま付き合えばよかったんじゃないの?」




いつのまにか麻里絵の声も熱を帯びていた。


真剣に思い直させようとしている。