待ち合わせ場所に行くと、既に麻里絵が着いていた。

挨拶も早々に二人は近くにある洋風居酒屋へと入った。


小洒落た店内は既に混雑しており、簡素な簾で区分けられた座卓へと二人は通された。


互いの近況を報告し終わる頃にはある程度酒もすすみ、程無く女同士無礼講の幕が開けた。



「で、彼のどこが気にいらなかったわけ?」



口角を上げて麻里絵が先攻する。
勿論、貴文との決別のことだ。



「だから、何回言わせるのよ。
 気にいらなかったんじゃなくて
 運命の男じゃなかったって先週言ってるじゃないっ」



「何が運命の男じゃない、よ。
 恋なんて好きかそうじゃないかでいいんじゃないのぉ?」



「ダメよ。
 運命の男でなきゃ絶対にダメ」



日向子は頑なに首を振った。



「大体さぁ、その運命ってのもぉ
 インチキ占い師の言葉でしょ?
 いいの?真に受けちゃってぇ…
 そんな事で別れちゃうってのも何だか彼に同情するわ」



頭に血が上った。
終始、上から目線の言動が伏線だが、インチキとは聞き流せない。


あの人を単にそこらの占い師とは一緒にしてほしくない。



「彼女の言うことは絶対よ。
 今まで外れたことなんて一度も
 ないんだから。」