雲一つない快晴の遊園地
3連休の中日とあって辺り一面幸せそうな顔が溢れている。
両親と手を繋いでスキップする女の子
寄り添って腕を組むカップル
村上日向子はベンチに腰かけて、行き交う面々をボ~っと眺めていた。
――やっぱり、来て良かった
ふとそう思っていると、背後からスッとソフトクリームが差し出された。
若干溶けだしたソフトクリームを両手に握っているのは彼氏の山田貴文だ。
「ちょっと売店が遠くてさ」
溶けだした言い訳をしながら貴文は日向子の横に腰かけた。
ジリジリと容赦なく照らす太陽は春先とはいえ日向子の喉をカラカラにしていた。
アトラクションの混み様を見てくるついでに彼はこういった気遣いも忘れない。
些細なことだが愛されていると実感できる。
「美味しい!ありがと!」
日向子の満面の笑みに貴文も満足気に白い歯を見せた。
遊園地のベンチに腰掛け、笑顔でソフトクリームを食べる二人。
まさに絵にかいたような幸せなカップルの日常がそこにはあった。
二人はしばし黙ってソフトクリームを頬張っていたが、残り僅かになったところで日向子が唐突に貴文に告げた。
「私たち…もう別れましょう!」