「僕には相変わらず何も夢を見なかったし、夢を持っていないけれど」 これだけは言える。間違いなく言える。 今年の夏は...... 「今までの中で一番よかった」 僕は微笑んだ。 僕の目の前にいる、名前も知らない少女に。 「うん。私も今年の夏は良かった、って言えるよ。 ねぇ......来年の夏は私たちも夢を見れるといいね」 そう言った少女の顔は、夢を見ていたものたちのように眩しかった。 「そうだね」 【完】