私だって、断じて神埼に興味があるわけでも心配をしている訳でもない。

…ただ、
家で一人だという彼も私と同じような心境なのだろうかと一瞬思ってしまった事は、否めない。





オリエンテーションが終わった。

今日も私は迎え入れられることのない空間に帰っていく。

私の両親は共に多忙な人たちで、海外に暮らしている。

3LDKの私の家は、一人で暮らすには広すぎるけれど不自由は何一つない。

そう、ただ一人きりなだけで。

一人きりで寂しくないのかと言われればそれは嘘になる。

けれど私はものわかりのいい子だったから文句は言わなかったし、
それに今さら我が儘なんて素直に言えなかった。



「ただいま…」

軽くため息をつき、重い家の扉を開く。

返事はもちろん、かえって来ない。

両親が共に家を出ていってから三年がたっても、行ってきます、とただいま、を言う癖は抜けてくれなかった。