「あのー、うっちーさん」 海がオレンジ色に染まる頃、わたしはうっちーさんにひなさんのことを聞いた 「どうした、夏井?」 「あの、えっと、ひなさんって…」 「ひながどうかしたか?」 「ひなさんってどこか悪いんですか? 夏祭りのとき、お二人が演舞のあとに話してるの聞いちゃったんです」 「聞いてたんだ」 それからうっちーさんはしばらく考えているようだった 「…おれじゃなくて、ひなに聞いた方がいいと思うよ? あいつのこと知ってるやつがおれ以外にもいたほうがいい」