まだ、あたしの背中に張り付いてる絢音。
コツンとひじでつついて。
腕をつかむと、先輩の目の前に立たせた。
「あ…あの…あの…あ…おっ誕生日、おめでとうございます。」
少し声のトーンが高くなって。
視線をそらしながら。
大迫先輩にかわいくピンクでラッピングされたプレゼントを差し出した。
「えっと…笹平(ささひら)さんだよね?」
「え!?どうして名前。」
ビックリして絢音が固まった。
「亀井がよく話してたんだ。好きな子の親友が、メチャクチャいい人でさって…。」
「あ…。」
言葉を発すると同時に。
絢音の目には大粒の涙が流れた。
「亀井…いい奴だったから。そんなヤツがいい人って言うから、どんないい人なんだろうって気になってたんだけど…約束の土曜日、あんな形でなくなっちゃったから。」
うつむいた先輩。
…そっか。



