あたしの存在は、完全に抹消(まっしょう)された。

「ほら、高校生なんだから、少しはオシャレとかしたら?」

どこかのブランドの紙袋が大量にリビングに散乱して。

たくさんの洋服が散らばってても。

それはお兄ちゃんのモノ。

「いいよ。紗羽に買ってあげたら?」

「全く、いつまでも死んだ妹を気にしてどうするの?」

「死んだ?死んだことにしてるのは誰だよ?」

「秋洋(あきひろ)ってば、夢でも見てるの?あの子は、去年死んだのよ?」

「…ったく。」

こんな会話をしながら、お兄ちゃんがイラついてリビングを出て行くのは毎日の事。

この前なんて。

有名なシェフがうちに料理を作りに来てくれて。

あたしは…。