まだ、ここに居られるってことだよね。
それがなぜか嬉しかった。
それが嬉しくて
「じゃあ、今日はあたしがご飯を作ってあげよう!!」
なんて、上機嫌にキッチンに立った。
「大丈夫か!?」
引きつったような顔をしながら。
瞬時にあたしの立ったキッチンを見た。
「料理くらいできます!!」
小さい時。
お手伝いさんも休みで。
親とかお兄ちゃんとか。
旅行とか行っちゃって。
冷蔵庫や戸棚を漁って、自分で何かを作って食べるしかなかった。
その時作ったチャーハン。
激的にまずくて。
卵の殻は入っているし。
塩と砂糖は違うし。
ホント…思い出すだけで気持ち悪くなる。
それから、料理の本を買って勉強して。
こう見えて、料理はそれなりに出来るけど。
めんどうであんまり作らない。
冷蔵庫の中身を確認して。
適当に材料を出すと手際よくご飯を作り始めた。
さっきまで引きつっていた海翔の顔も。
感心したかのように、少し驚きながら料理をするあたしを見ていた。
ものの30分。
テーブルの上いっぱいに料理が並んだ。
「…見た目はいいけど。」
まだ信用ない?



