次の日は夜勤だった。

ちょうど、日勤の森崎と入れ替わり。

オレが出勤すると、またもや上機嫌の森崎が話しかけてきた。

「昨日は悪かったな。あの子、本当にかわいかっただろ?」

「ああ。あの子の名前は?」

「わっかんないんだよなぁ。」

「それくらい聞いたんじゃないのかよ。」

「受付の子は違ったからな…。」

「それじゃ、昨日のオレ達の行動って怪しい人じゃん!!」

なんて、2人で爆笑した。

「よしっ!!絶対に俺が落として見せるぜ。」

仕事明けにしちゃ、ずい分と元気だな。

「似合わないだろ?実写版・美女と野獣だな。」

そう言って笑った。

「失礼なヤツだな?んじゃ、オレは帰るから見ていろよ…。」

ポンとオレの肩を叩くと、ニンマリ笑いながら帰っていった。

「失恋パーティーしてやらないぞ!!」

森崎のご機嫌な後姿に投げかけた。

浮かれている森崎とは正反対に、仕事中ずっと綾瀬唯の事を考えてた。

昨日の罪悪感か?

…それだけじゃない。

ファミレスで急に抱きついてきたり。

あの時、泣きそうな顔していたよな。

気づかせないつもりだったかもしれないが。

それに、自分のことは絶対に話さない。

何か重大な事件にかかわっているとか?

それにしては、あの不思議な目の輝き。

犯罪者にはあり得ない、人を真っ直ぐ見ること。

パソコンは、いつの間にか犯罪者の照会ページを映し出していた。

…綾瀬唯…

検索結果がインストールされるのが、こんなに長く感じたのは始めてだった。

ドクン…

ドクン…

どうしてだろう?

胸の鼓動が高鳴っている。

今までにあり得ない気持ち。

胸の奥に渦巻く不安と期待と疑問。

全てを打ち消してくれるはずだと思いながら、今か今かとインストロール表示を見つめていた。

最後のインストール表示がついた

ドクン…
ドクン…

高鳴りっぱなしの鼓動。

パッと画面が切り変わった。