「そう言うものよ。私の方が、長く女やっているのよ?」

そう言いながらほほ笑む顔に。

なんだか少し気持が楽になった。

少し長く女やっているって部分は、微妙に引っかかるけど…。

「戸籍まで工事していますけどね。」

思わずクスッと笑いながら、突っ込んじゃった。

「失礼な子!!!!」

プックリとお姉さんが膨れ上がっている。

だけどこんな話、誰に相談できるわけじゃないし。

霧生くんを知っていて、あたしの過去を知ってないと話せないし。

やっぱり、本当のお姉ちゃんみたい。

「ごめんなさい。人生なら分るけど…戸籍まで工事したのは数年前だったと思ったから。」

謝っているつもりなんだけど、おかしくて笑っちゃう。

「…でも、男心も女心も分るからいいでしょ?」

「そりゃ、お姉さんにかないませんよ。」

お世辞でも持ち上げておかないと、本気で怒っちゃいそうだから。

「あら、良く分っているじゃない。」

キラキラと目を輝かせて。

機嫌が戻ってきた。

「ありがとうで~す。」

笑って適当に流した。

一瞬ピタリと会話が止まった。

そして、お姉さんはゆっくりと口を開いて、真剣にあたしの目を見た。

「いい?これだけは忘れないで…好きなようにやって後悔しなさい。若いんだから、時間に無駄はないのよ。」

ズッシリと心の奥に入り込んだ言葉。