「霧生くんて…1年ちょっと前に事故で亡くなったって噂を聞いた?」
…コクンとうなずいた。
「この間知り合った警察の…。」
「ああ、お人好しなあの刑事?」
「うん。なんか霧生くんにそっくりで、雰囲気も身長も話し方も…顔はさすがに似てないけど。」
クスッと笑った。
「へぇ~、顔の似た人は、3人は世の中に居るって言うけど、顔以外がそっくりって不思議ね。」
「だから、余計に気になっているみたいで。」
お姉さんに上手く伝えられないけど、会った時から霧生くんに似ていて気になっていた事、昨日の夜に気になって会いに行った事を全部話した。
何も言わずに、あいづちだけ打って真剣に話を聞いてくれて。
ちゃんと最後まで、お姉さんは話を聞いてくれた。
「そんな偶然あるなんてビックリで。」
「そうね。偶然が3回重なれば必然てね…運命の人だったりして。」
なんて茶化して笑った。
「そんなのあるわけないじゃないですか!!ただ、霧生くんに似ているってだけで…。」
慌てて否定しているのに。
お姉さんの顔は、段々とゆるんでいく。
「…死んだ人には勝てないって知っている?」
にこやかにお姉さんは微笑んだ。
「何ですか?死んだ人には勝てないって?」
「思い出って大事な人ほど美化されていくものなの。まして、いい終わり方じゃなかったじゃない?急に失踪して事故で死んだって風の噂で聞いて。だから、余計に気になっているのね。」
「そ…そうなんですかね?」
あたしの中では、もう…過去のこと。
霧生くんを思い出すと。
お兄ちゃんのことまで思い出しそうで。
苦しくなるから、思い出さないようにしていた。
あたしは、自分の心に折り合いをつけたつもりだった。



