あのまま、お姉さんから連絡はなくて。

結局、尚吾の所に泊まるしかなかった。

お互い、別々のソファに寝て。

昼に秀がやってきて起こされた。

あたしは『G』に戻って、シャワーを浴びて着替えて遊びに出かけて。

てっきり『G』は昨日、ガサ入れされたから、入れないって思ったのに。

営業はできないけど、中には入れて。

夜には『G』の裏部屋にみんなが集まって騒いで…。

こんなふうに何事もない毎日に戻った。

あれから、数週間が過ぎようとしていた。

ホントなら忘れちゃうはずなのに。

どんなに騒いで遊んでいても、どこか心に隙間があって。

どうしても心に引っかかる事があった。

気になって仕方なくて。

自分でも、どうしてここまで気になるのか分らなくて。

ただ、それを知りたかっただけ。

あたしはあの人に会いたくて、あの警察署の近くのコンビニで待ち伏せしていた。

梅雨には珍しいくらい晴れていた昼間。

夕方から一気に雨が降り出した。

通り雨かな?

しばらくすれば雨なんか止むと思っていた。

それなのに、しつこく夜まで降り続くとは…。

傘を買うのも面倒くさいし。

あの人は休みなのかな?

こんなに待っていても仕方ない。

もしかしたら、ここを通らないのかもしれない。

ハアッと大きなため息をついて。

諦めかけて、駐車場で考えながらしゃがみ込んだ。

何分だったかな?

ほんの2~3分だったと思う。

急に目の前に男の足がピタリと止まった。

…なに!?

ゆっくりと足元から顔を見上げた。