「だって、尚吾くんエッチしてくれないから。」
淋しそうにうつむいた。
「はぁっ!?この尚吾が、まだ手を出してないの?」
一番、最初に驚いたのはあたし。
ほとんど変わらない速さで、5人の視線が一斉に尚吾に注がれた。
「…なんだよ。」
みんなの視線に目と言葉がオドオドした。
「尚吾も大人になったね。」
ポンッと肩を叩いた。
「違うって…。」
あたしの手を払いのけると、みんなの顔を真剣に見た。
「じゃあ、どうしちゃったんですか?」
首をかしげて晶が聞いた。
「そんなんじゃないんだよ…初めて大事にしたいって、思わせた女だからな。」
「ほ~う。」
みんなの声がハモった。
「相変わらず、臭い台詞を平然と言うね。ショウゴン。」
ニッコリと笑いながら、甘えた声で尚吾をいつものようにからかった。
「愛があるから言えるんだよ。」
なんて、鼻で笑った瞬間、みんなの顔が呆れている。
「そっか…もう夜中の1時過ぎだしね…。」
もう一度ソファに座りなおして、何もなかったかのよう。
みんなも何もなかったみたいに、サッサと部屋から出て行った。
「ミュウはエッチしに行ってきますね。」
甘ったるい声で元気良く言うと、ドアの隙間から可愛く手を振った。
バタンッ…。
ドアが閉まると、シ~ンと静まり返ったフロア。
今までの笑い声が嘘みたい。
「…久しぶりだな。こうして2人きりになるのも。」
尚吾の声がフロアに低く響いた。