「本当に旨いか?」
美味しそうにパクつくあたしを、ビックリしながら見ている。
「うん!!尚吾が作ったなんて思えない。」
「そうか。時間かかっただけはあるだろ?」
「もしかして、これ作っていて『G』にいなかったの?」
「うん。練習するのに、どれだけ日数かかったか。」
懐かしむような、遠い目をしている。
「ねえ、もしかして…尚吾が連絡取れなかったのって…。」
「ああ。姉ちゃん料理学校の先生だから教わっていた。バレたくなくて、必死だったんだけど。色々難題言われてさ…姉ちゃんがまさか今でもオレが好きだったからとは。」
遠い目をしながら、ため息まじりに答えた。
そうだったんだ…。
やっと、全部の事が謎解けた。
作っている時に、連絡来ても困るし。
お姉さんに毎日会っているって言ったら、理由を聞かれるのは当たり前だ。
だから、ミュウにも嘘をついていたんだ。
尚吾の性格からして、徹底しないとボロを出すし。
秀もおかしいと思うわけだ。
「ねぇ、難題って?」
興味本位で聞いてみた。
「あ…うん…。」
一瞬だけ、視線をそらしたのを見逃さなかった。
「どうせ、尚吾の事だからエロいんでしょ?」
怖いくらい優しい口調で冗談を言ったつもりだったのに。
「………ごめんなさい。一回だけ。」
????????????
一回だけ???
………ってまさか。
「やっちゃったの?」
恐る恐る、聞いてみた。
「………。」
背中を向けながらコクンとうなずいた。
最低!!!
見境ないのかよ!!!
心の中で怒っているけど、顔はにっこり笑顔。
「男同士の方が、ツボが分かっていて気持ち良かったでしょ?」
嫌味を込めて言った。



