「お前、隠している事あるだろ?」

秀の抱きしめる腕が、あたしの耳をふさぐかのようにギュッと力が入った。

「なんだよそれ…バカバカしい。オレがどこで何やってようと、秀にどうこう言われる覚えはない!!」

フッと鼻で笑い飛ばした。

「………わかったよ。尚吾がそう言うなら。」

抱きしめられた胸の振動から、秀が唇を噛みしめながら震えているのが伝わってくる。

グッと怒りを抑えて、言葉を飲み込んでいるんだ。

尚吾も何も答えなかった。

ドカンッ!!!!!

もの凄い音が廊下に響き渡る。

尚吾が力いっぱい壁を殴ってどこかに行ってしまった。

一体、秀は何を気にしているの?

尚吾は、何を隠しているの?

今のあたしには、何も考えられなかった。

霧生くんの事で、頭がいっぱいで。

他の事を考える余裕すらなかった。