「姉ちゃんが、来いって言うからさ。」
「あっそ…。」
やっぱり腹が立つ。
自分から来たんじゃなくて、お姉さんに呼ばれたから来たって。
じゃあ、お姉さんに呼ばれなかったら来ないってことでしょ!?
嬉しいはずなのに、なんかイラだつ。
ああっ!!!
もう、どうしちゃったの?
本当に自分は。
肝心のお姉さんは、酔いつぶれてソファに寄りかかって寝ている。
リビングには重たい空気が漂っている。
「あたし寝るわ。お姉さん、部屋に連れてってあげて。」
この場から早く逃げたくて、サッサと部屋に戻った。
ズッポリと頭まで布団を被ると、ギュッと強く目をつぶった。
何も考えないように…。
早く寝よう。
ビールのおかげで、すぐに眠りにつけた。
次の日の朝。
リビングに行ってみると、お姉さんは起きていない。
顔を洗って、着替えてメイクして。
いつもの朝のはずだった。
朝ご飯でも食べようと、冷蔵庫を開けた。
カチャン…。
お姉さんが起きたのかな?
振り返ってみると、お姉さんじゃない。
その姿を見て、あたしはどうしていいのか分らなかった。
「………。」
言葉さえ忘れている。
「早起きだな、唯は…。」
眠そうな顔をした、上半身裸の尚吾が立っている。
なんで、お姉さんの部屋から出てきたわけ?
しかも、なぜ上半身裸なの?
もう、推理できることはひとつしかなかった。



