「うん。だって、誰よりもしっかりしているし。頼りになるじゃん?人間中身でしょ?」

チラッと尚吾の顔を見ながら。

言葉尻はイヤミに似た口調になっていた。

「唯ぃぃぃぃぃぃっぃ!!!!!」

猛突進して、あたしに抱きついた。

「ど、どうしたの?」

ビックリとしか言えない。

目がパチパチして。

「やっぱり、唯だ!!!!俺の事、分ってくれている女の子は。」

胸の中に飛び込むと、ギュッと強く抱きついた。

たった数秒差。

ゴチンッ!!!!!!

後ろから、無言で尚吾が亮太の頭を思いっきり殴った。

「ってぇ~。」

頭を押さえながら見上げると、炎が見えそうなくらいの勢いの尚吾が立っている。

「唯にふぅ~れぇ~るぅ~なぁ~!!」

まるで、呪いでもかけるんじゃないかって思うくらい。

その顔はおぞましいとしか言いようがない。

それでもあたしは平静な顔をして。

「別にいいじゃん。へこんでいる時くらいさ。」

ムッと口をとがらせた。

「なんで、唯が亮太をかばう?」

「かばってないし。ただ、あたしは友達として励ましただけ。」

なんか、今日は尚吾にイライラする。

尚吾に対してだけ、口調も冷たくなっているのは分る。

なのに、何で自分がイライラしているか分からない。

「………あの。」

おびえながら、ミュウが尚吾の後ろからヒョッコリ顔を出した。