「オレだって真剣だよ!!」

深く眉をゆがめながら、ギュッと強くあたしの腕をつかんだ。

「どこが!?」

あたしの眉も深くゆがむ。

腕をつかまれた痛みだけじゃない。

口先のうまい尚吾だもん。

いいことばっかり言うつもりなのが分かるから。

「ああ~!!もう!!」

面倒くさそうに声を上げると、あたしの頭をつかんで。

グッと顔を引き寄せた。

驚いた時には、もう尚吾の熱い舌があたしの怯(ひる)んだ舌に絡みついていた。

…ドクンッ。

全身に熱くなった鼓動が駆け抜けた。

だけど心は違う。

何考えているの!?

こんな時に!!

やっぱり、手が早いだけの軽い男だった。

「ん……っん……!!」

ふさがれた口で、必死に文句を言おうとしているのに。

言葉にならない。

舌先を逃がそうとしても、素早く追いかけてきて絡み付く。

苦しくて顔がゆがんでいく。

窒息しそうなくらい苦しくて。

ドンッ!!と、尚吾の肩を強く叩いた。

スッと離れた唇。

ハア……ハア……。

2人とも肩で呼吸している。

「な……何…するの?」

やっと言葉になった。