「たいした話じゃないけど…家が地元じゃ相当有名な大病院だとか。お兄ちゃんは凄い頭よくて格好よくてとか。」

口をとがらせながら、戸惑って答えた。

「ホントに、それだけ?」

「なっ…なんだよ。そんなに怒るなよ。」

「怒っているわけじゃないよ。ただ、変な話されたくないだけ。」

そうは言いつつ、顔は明らかに深く眉をゆがめて怒っている。

怒りたくなくても、そうなってしまうのは仕方ないじゃん。

お兄ちゃんとあたしの関係。

きっと、美緒ちゃんとかは知らないだろうけど。

お兄ちゃんに居所がバレなきゃいい。

同窓会で会ったばっかりって言っていたし。

もし、ここがバレたら…。

それを考えたら、あたしの話をして怒らないはずがないでしょ?

「取り合えず、明日は必ず来いよ。」

不満そうに眉をゆがませた。

「…わかった。」

渋々だけど、居所がバレる話をされない為にも、取り合えず行っておくか。

その程度の軽い気持ちだけだった。