「ヤメロォ~!!」
尚吾が大声で秀の話をさえぎった。
「女が引いたら、教科書にも載ってるからって力説して。セックスの意味まであつ~く語ったらしいよ。」
「丘芹!!お前まで。」
「何でそこまでって聞いたら、気持いいからって。それから、尚吾の別名は『中出し王子』って決まった。今までよく妊娠させなかったなって伝説になってるよ。」
泣きそうな尚吾に、亮太が追い討ちの話。
「あぁ…あぁ。」
あたしの顔は、完全に引きつっている。
「ほら、引いちゃったじゃん。女の子にこんな話は可愛そうだろ?」
尚吾があたしの肩をポンと軽く叩いた。
「キモイ…。」
軽蔑した目で尚吾を見た。
「オレをへこまして、みんな楽しいかよ。」
ソファの端に足を抱え込みながらうずくまった姿を見て、みんな大爆笑。
最終的に秀の発案に決まり、コインロッカーに荷物を入れGに泊まることにした。
実は、ネカフェも限界を感じ始めていた。
偽造の身分証も16歳だし。
同じネカフェに毎日はいられない。
顔を覚えられて、お兄ちゃんにでも見つかったら困るし。
補導されたら?
…とか、毎日、不安な気持ちがあったから。
正直、秀の話が嬉しくて。
ホッとした部分があった。
それに最初は警戒してたけど、段々みんながいい奴だってわかってきたから。
だから、この話が少しうれしくて。
毎日が芸人といるみたいで、楽しくて飽きなくて。
そのおかげで、霧生くんの事を少し忘れられた。
そんな時だった。
それは、亮太と丘芹が知り合った女子大生2人から始まった。



