「ブサイクの可愛い系。」
「なにそれ?」
「ブサイクの中でも、かわいいって事だ。」
「意味わかんない。ブサイクはブサイクでしょ?」
「分ってないなぁ~。ブサイクの中でも、ランクがあるんだよ。」
「だったら、可愛いでいいじゃん?」
「違うんだよ。明らかにブサイクなんだけどかわいいんだよ。だから、言葉も可愛い呼び方なの。」
「ブッチャイク…確かにかわいいかも。」
「だろ!?」
「……待って。明らかに、あたしはブサイクって言いたいの?」
「違うよ!!!唯は可愛いから。」
「やっぱり。そうじゃないかとは思っていた。」
なんて笑った。
ス~ッと、楽しい気持になってきた。
…あれ?
尚吾と他愛もない話ししながら、いつの間にか笑っている。
それに、痛いくらいの優しさが伝わってきて。
言葉じゃ言えない。
安心感?
そんな感覚がする。
ガチャッ!!!
突然、ドアが開く音が聞こえた。
「唯ちゃん来ていたんだ。メール返せなくてごめんね。さっきまで、ホテルにいたからさ。」
秀の声の感覚から、入り口近くの丸いテーブルの方に座ったのが分った。
「あ~、はいはい。すいませんね。お取り込み中にメールして。」
茶化しながら、イヤミっぽく言った。
絶対に在り得ない、尚吾のひざ枕の光景に突っ込んでくるはずなのに…。
何も言ってこない。
あたしには見えないけど、きっと、秀と尚吾でアイコンタクトをしたのだと感じた。



