朝の優しい風がなぐさめてくれているようで。
そのまま泣き続けた。
このひまわりの鉢植えがあるんだもん。
きっと、霧生くんには何か事情があるのかも。
また…あの頃みたいに一緒に笑えるよね?
鉢植えを戻すと、まるで霧生くんとしたように。
ひまわりに優しくキスをすると、霧生くんのマンションを出た。
外に出ると霧生くんの部屋を見上げた。
霧生くん、また冗談だよって言って、帰ってきてくれるよね?
このままじゃ、霧生くんのイジワルなんて思えないよ。
あたしがワガママだから?
ねえ…もう、いなくならないって約束は、守ってくれるよね?
ポタポタと、また涙がこぼれてきた。
うつむきながら手で口を押さえ、通りすがりの人に聞こえないよう。
声が出るのをこらえて泣きながら帰った。
霧生くんにメールをしようかな?
ずっと帰りの電車の中で考えていた。
だけどメールができない。
もし、大嫌いとか。
もう、目の前に現れるなとか。
ヒドイ言葉が返ってくるのが怖くて。
それに、本当にあの人は霧生くんだったの?
霧生くんはあんな事をする人じゃないし…。
だけど『チワワ』って名前を知っているのは、霧生くんしかいない。
自問自答ばかりして。
ジッと携帯を見つめていた。
『件名 いま何している?
本文 ------
話がしたいの。今日は暇?』
秀にメールしていた。
1人になりたくなくて。
悲しみと不安に押し潰されるのが分っていたから。



