霧生くんの唇が離れて、あたしが目を開けると霧生くんはうつむいていて。

月明かりだけじゃ暗くて顔が見えない。

そのまま、背を向けて寝てしまった。

あたしは泣いた意味を聞かなかった。

触れてはいけない気がしたから。

だけど、これだけは感じ取れたのは、霧生くんもあたしを好きなんだ。

このキスはそういう事だよね?

そう思いながら、あたしも霧生くんに背を向けて目をつぶると、霧生くんは優しく抱きしめてくれた。

ゴロンと向きを変えて、霧生くんの胸の中で。

ゆっくりと聞こえるトクン…トクン…って優しく流れる霧生くんの心臓の音を聞いて眠りについた。