「いいけど…ここのチーズハンバーグ美味しいんだよなぁ~。」
チラッとあたしを見た。
「チーズハンバーグ!?」
急にご機嫌になると、目はキラキラとメニューを見ている。
霧生くんは笑いを堪えながら、ジッとあたしを見ていた。
本当に、ここのチーズハンバーグは美味しくて。
顔がほころんでしまう。
霧生くんは、そんなあたしを微笑みながら見ていてくれた。
話す事なんか忘れて、チーズハンバーグに夢中になった。
「なぁ、どうしてオレの居場所が分った?」
不意に霧生くんが質問してきた。
ピタリとあたしの動きが止まる。
チョット考えると、これまでのいきさつを話した。
家出したこと。
尚吾に会った事。
連れ戻された事。
コンビニのお兄さんの事。
そして、秀が調べてくれた事。
今度は、食べるのを忘れて話した。
霧生くんは、『うん。うん。』と、あいづちを打って全部を聞いてくれた。
話し終わると、霧生くんはジャケットのポケットから携帯を取り出しあたしの目の前に差し出した。
「なに?」
差し出された携帯を見ながら戸惑ってしまった。
「偽造なんか使うなよ。犯罪だぞ。オレは2台持っているから、1台チワワにあげるから。」
「本当に!?」
ビックリしながら、大喜びで携帯を受け取った。
「そっちは、使ってないに等しいし。」
「本当にいいの?」
携帯の中身を見ると、メールもメモリーも入ってない。
「それ、友達が携帯ショップで働いていて。ノルマがクリアできないからって、頼み込まれて買っただけだから。」
「そっか。だから使ってないんだ。」
「ああ。」
霧生くんから携帯をもらえて上機嫌。
霧生くんには会えるし、携帯はもらえるし。
こんなに幸せでいいのかな?
「じゃあ、じゃあ、メールしよ?」
「いいよ。」
そう言ってあたしの携帯を手に取ると、もうひとつの携帯をポケットから出して赤外線をしてくれた。
「ありがとう!!」
携帯を受け取って、一番最初のメモリーが霧生くんになっている。
ジッと眺めているとメールが受信された。
送信者は霧生くん。



