まずは、携帯を買わなきゃ。

でも、16歳じゃ住むところは借りられないけど。

携帯だけでもあればいいかな。

「ありがとう。」

「いえいえ。本当なら70万くらい取るか、紗羽ちゃんなら一晩付き合ってくれれば…まあ、それは尚吾に悪いから言わないだけ。」

ニヤッと笑った口元に、ゾクッと寒気が背中を走った。

こういう時は、尚吾に追いかけ回されていて良かったって思ってしまう。

「綾瀬唯ねぇ~。ピッタリじゃん?」

秀が学生証を後ろからのぞき込んできた。

「じゃあ、今日は唯の誕生記念てことで『G』で飲もうぜ。」

尚吾が大きく手を上げると。

「いいね~ぇ!!!」

それに続いて、秀も亮太も手を上げた。

「丘芹には、メールしておくか。」

そう言って、尚吾がメールし始めた。

でも、あたしは行く気にはなれない。

だって『G』って、いい思い出ないんだもん。

最初は襲われたし、2回目は秀が目の前でやり始めちゃうし。

それに、あの無法地帯。

気分はLOW状態なのに、秀が無理矢理に腕を引っ張ってビルを出ると、すぐにタクシーを捕まえて押し込めた。

「ちょっと、なんなの?」

少しキレ気味に秀をにらんだ。

「オレからの誕生日プレゼント。」

ニッコリ笑って渡された白い小さな封筒。