届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…


あれ?

本当に『お座り』で、大人しくなっちゃった。

まるで犬みたい。

本当に動かないのかな?

冗談でしょ?

ホッペをつついてみたけど、微動だにしない。

それをいい事に、両頬を持ってビヨ~ンと伸ばしてみた。

そのブッサイクな顔が笑えて。

「くっくっく…。」

笑いを堪えるのに必死。

それでも尚吾は動かない。

両手をグウにして、ピタッと姿勢良く立っている。

ニッと笑って、ゆっくり後退りすると

「よしっ!!」

大きく叫んだ。

「何しやがる~!!」

ダッシュでフロアを駆け下りるあたしの後をむくれた顔をして追いかけてきた。

「だって~、本当に動かないんだもん!!」

外に逃げ出した途端、グイッと腕を引っ張られた感覚が一瞬。

振り返る余裕もなく、腰に力強い腕の感覚と一緒に足元がふわりと宙に浮いた。

あたしを捕まえて抱き上げると

「オレに、かなうと思うなよ。」

なんて息を切らしながら笑っている。

「はぁ~なぁ~しぃ~てぇ~!!」

暴れるけど腕は解けない。

このままじゃヤバイ。

分かっているのに足がバタつくだけ。

「だぁ~めぇ~。」

暴れるほど尚吾の腕に力が入る。

「なんだ、仲良くやってんじゃん。」

急に聞きなれた男の声が聞こえた。