いつもの毎日だったはずなのに。

ただ、久しぶりに同級生と会って飲んでくるって嬉しそうに家を出て行ったのに。

明け方、一本の電話が掛かってきて。

突然、お姉さんは死んだって。

何の冗談だって思ったよ。

朝まで飲んで、誰かがイタズラしてるんだって。

電話に出たお父さんがそう思ったけど。

お姉さんは、何人もの男に襲われて、顔や体中、殴り蹴られて。

山の中にゴミを捨てるかのように、ポイっと捨てられていた。

電話越しから伝えられた事実に。

言葉を失った。

電話の向こうで話しているのは、本当に警察なんだって。

この小さな町で、そんな事件は珍しくて。

必死に犯人を捜してはいるけど。

いまだに犯人も見つかっていない。

一番かわいそうなのは彼氏だったよ。

お姉さんの最後を見ることも許されなかったからね。

「あまりにも無残な姿を好きだった人には見せたくないだろうからって、お姉さんの両親が会わせなかった。」

お兄さんは、大粒の涙をこぼしながら話してくれた。

言葉に詰まったみたいで。

その先の話が出てこない。

だけど、あたしは知っている。

泣いていたはずのあたしが、微動だにせず顔を真っ青にして座っている。

お兄さんに掛ける言葉も見つからない。