「噂でしかないけど…ショックで自殺したって。」
一瞬、何を言われたとか分からなかった。
想像もしていなかった言葉に。
体中を駆け巡っていた緊張感が、急激に氷のように冷たく。
チクチクと痛みを発しながら、体の中を巡っている。
「それ…いつの話ですか?」
なんとか口に出した言葉は。
驚きのあまり、重たく口を出て行く。
「数ヶ月前だけど。」
「そうですか…」
その一言が、言葉になったのが奇跡だと思うくらい。
気力も体力も、全部が失われた感じで、ベッタリと地面に座り込んだ。
一番、最悪な結末だ。
霧生くんに謝る事もできなくなった。
もう、あたしが目指していたものは何なのかさえ分らなくなった。
「大丈夫?お譲ちゃん。あくまで、噂に過ぎないからね。」
地面から立てないあたしを、おばちゃんが心配そうに手を差し伸べてくれた。
おばちゃんの言葉なんか、耳に入っていない。
ただ、差し伸べられた手に気付いただけ。
「…すいません。」
差し伸べてくれた手を借りて、立ち上がるのが精一杯。
ポッカリと空いてしまった心の中に。
希望とか。
絶望とか。
そんなのなんか感じないくらい。
冷たく吹き抜けるように。
あたしの心をスッポリと持ち去られたみたいで。
もうろうとしながら、どこをどうさまよって帰ってきたのかも覚えていない。
気がついた時は、夜になっていた。
そして、あのコンビニのお兄さんの家の玄関前に立っていた。
涙をいっぱいこぼしながら、ただ突っ立っていた。
ガチャ!!!
急に玄関の扉は開いたけど。
ビックリする事もなく、ただ泣き続けていた。



