その顔をチラッと見上げると、ハァンッと鼻で軽く笑った。
「あたしとセックスしたかったんでしょ?…モノは新品欲しがるくせに、女はお古で構わないなんて男っておもしろい生き物だね。」
男の耳元でボソッとつぶやいた。
恐怖に歪んでいく男の顔。
男は完全にパニック状態。
「すっ…すいませんでした!!!」
男はあたしの腕を振り切ると、いきなり目の前に地に頭をこすり付けてひざまずいた。
「なに!?」
今度はあたしが困惑。
だって、こんなことで、そこまでされるって。
意味が分からない。
「尚吾さんに許せない女がいるから、襲って来いって言われたんです。それで写メ見たんですけど、似ていたんで間違えました。」
小さく震えながら、ひたすら頭を下げた。
なるほどね。
そういう事だったのか。
あの尚吾って男、ホント最低男じゃん。
それなのに頼ろうとしたあたしがバカだった。
頼ったらそれこそ何されるか。
考えただけで恐ろしい。
「もういいよ。」
呆れた顔をしながら、ハアッと大きなため息をついた。
「でも…尚吾さんに…」
微かに鼻にかかる声。
「アイツが悪いんだし。詳しく話し聞かせてよ。それでチャラって事で…」
地面に膝をつきしゃがみ込むと、男肩をポンと優しく叩いた。
「はい…。」
泣きそうな声で返事をすると、安心したかのように顔を上げた。