オヤジもその場にうずくまって動かない。
もしかしたら、肋骨折っちゃった?
少し心配はしたけど自業自得だ。
あたしに馴れ馴れしくしてくるから。
チラリと冷たく見下ろすと、その場を後にして。
『G』へと急いだ。
尚吾の言っていた『G』というクラブに近づくほど、ヤバそうな連中が多くなってくる。
どう見ても小学生くらいの女の子が、中年オヤジとキスしていたり。
薄暗い細い路地では、どこかのカップルがセックスしている。
女の子の熱を帯びたくぐもった声が聞こえなければ、誰も気付かない。
そんなおかしな連中が、沸いて出てきているって言葉がピッタリなくらい。
ここはどこの国?
日本の繁華街にしては、違和感がある。
まるで、ブロンクスのスラム街を思わせる。
でも…
他の人から見たら。
あたしも少し前までは、この人達と変わらなかった。
ある意味、この人達よりもおかしかったかも。
血は繋がっていなくても。
お兄ちゃんと、そういうことをしていたんだから。
この人達の方が、まだ普通なのかも。
全くの他人とお金で…とかだもん。
そう思うと、この一角だけの異様な雰囲気に、ひるんで逃げ出しそうなあたしの足が進んでくれる。
確実に一歩一歩と『G』に近づいている。
緊張感のような
異様な光景に引いているのかな?
ドクン…!!
ドクン…!!
心臓の鼓動が、耳の奥で聞こえてくる。
その時だった。



