あの人なら、いろんな力やお金を使ってやりかねない。

どこの店にも入店拒否されれば、あたしが諦めて帰ってくるだろうと思ったんでしょ。

ここまでやるなんて…

あたしは、これからどうしたらいいのか?

遊ぶ場所も買い物も、食べる事すら出来ないなんて。

もしかしたら、ホテルも追い出されるかもしれない。

そう考えたら、急に目の前が真っ暗になった。

そうだ!!

尚吾って人なら、なんとかしてくれるかな?

ピンとひらめいた。

ちょっと変わっているけど、友達関係広そうだし。

本当だったら頼りたくない人間。

だけど、ここでお兄ちゃんに負けたくなかった。

この際、利用出来るものは利用するしかないでしょ!?

急いで電車に飛び乗ると、元の街に戻ってきた。

思いつくのはファミレス。

だけど入店拒否されている。

一生懸命思考回路を働かせ、ファミレス以外に尚吾の行きそうな場所を考えてみた。

街の中を走り回り尚吾を探した。

入店拒否されているから、外からしか店の中を確認できないけど。

いつもならヒョッコリと、あたしの行く先々でいるはず。

だけど、こういう時に限っていないなんて…

どんなに探し回っても尚吾どころか、尚吾の友達のイケメンも見当たらない。

4時間走り回って、足が動かなくなって。

肺が肋骨に張り付いたかのように痛くて。

心臓が膨張したかのような鼓動と脈の速さ。

尚吾が見つからない苛立ち。

これからの閉ざされた自分の居場所。