「気に入らなかったかな?」

あたしの顔を切なそうにのぞき込んだ。

その切なそうな顔が、あたしが好きだったお兄ちゃんの顔のままで。

あたしに残された情という感情がチクリと胸の奥を痛ませる。

「……そ…そんなんじゃなくて。」

胸の痛みが、ポツリとつぶやかせてしまう。

「また、親父とかを気にしているのか?大丈夫。気にする必要はないよ。」

振るえるあたしの手をとると、そっと唇を重ねた。

何のためらいもなく、ニュルリと熱を帯びたお兄ちゃんの舌があたしの舌に絡み付く。

ベッドに押し倒されるやいなや、お兄ちゃんの長身の体が覆いかぶさって。

大きな掌に包まれた胸。

しなやかな指が胸のふくらみの柔らかな感触を確かめるように、ゆっくりと動き出す。

真っ赤なニットカーディガンのボタンが、ひとつずつ外されていく。

プチッとブラジャーのホックを外すと、露わになったマシュマロのような胸に。

そっと唇をはわせ、いとおしむように顔をうずめた。

気持悪くて…

苦しくて…

生暖かい感触。

きっと何も知らなかったら、今でもお兄ちゃんとの快楽の虜になっていた。

あの事実を知ってから。

めまいを起こさせそうな感覚しかないのに。

「……んっ!!」

思わず鼻から抜けるように、甘い声がもれてしまう。