「えっ!?お兄さんが、誘拐されたと通報がありましたよ。」
少し驚いたように。
森崎が小さく首を傾けた。
やっぱり、お兄ちゃんだったか。
捜索届けより、誘拐と通報すれば確実に発見は早い。
捜査員の数も違うし。
…もう、見つかった。
あたしには逃げる場所はなくなった。
ガックリと肩を落として。
そのまま覆面パトカーに乗せられて、桜ノ宮署まで連れて行かれた。
まるで、指名手配されていた犯人のような気分。
とうとう捕まったか。
どこか、肩の力が抜けたようで。
でも、連れ戻される恐怖。
きっと、指名手配犯はこんな気持ちなんだろうな。
ハアッと、ため息をついた。



