なんで、あたしの名前を知っているの?
ビックリしながら男達を見ると、スーツの内ポケットから2つ折の黒い手帳を出してきて。
「桜ノ宮署の森崎です。」
警察手帳を開いてあたしに見せた。
「同じく永峰です。」
警察!?
一体…何?
何が起こっているのかも分からない。
ガッシリと2人の警察官に腕をつかまれると、森崎と名乗った警察官が
「無事、保護しました。」
なんて無線で話してる。
ただぼう然と、その光景を見ているしかできない。
保護?
まさか、お兄ちゃんが捜索願でも出した?
でも、それにしては物々しすぎる。
捜索願で、いきなり捕まる?
「一体、何なんですか?」
戸惑いながらも、やっと出てきた言葉。
「大丈夫。もうお家に帰れるから。」
森崎とか言った警察の人が、優しくほほ笑んだ。
家?…帰る気なんかないんだけど。
「どういう事ですか?説明して下さい!!」
慌てて2人の腕を振り払った。
「大丈夫、もう怖くないから。紗羽ちゃん、誘拐されてたんでしょ?」
森崎のその言葉に、思考も体も停止。
誘拐!?
一体誰に?
「誘拐ってなんですか?あたし家出していますけど、誘拐なんかじゃないです。!!」
自分でも理解不能な発言だとは思うけど。
パニックを起こしている頭の中は、意味の分からない言葉しか出させてくれない。



