だけど、ここで引っかかるワケにはいかない。
顔はポーカーフェイス。
その前は、抱えきれない程のお菓子持ってきたり。
上映されている、ありとあらゆる映画のチケット持ってきてみたり。
指輪に財布。
バックに靴。
全部、有名どころのブランド品。
それが毎日繰り返されていた。
あきれるというか?
よく、ここまでお金があるなって。
金持ちの息子?
まさか強盗してきたとか!?
いや…
この軽さからして、口で上手いこと言って、女の子に貢がせているな。
色々と想像をめぐらせてみたけど、この答えが一番納得できる。
尚吾のおかげで、何も考えなくて良くて。
暇つぶしになる人程度でしかない存在。
今日もファミレスにくると、尚吾と一緒だった男の子が、女の子と楽しそうに話している。
その隣で恨めしそうな顔をして、尚吾がずっとこっちを見ていた。
「モテるんだ…だったら、乗り換えればいいのに。しつこい男。」
独り言をつぶやいた。
毎日女の子は違うけど、尚吾と男の子の周りには女の子がいっぱいだった。
それなのに、尚吾はいっつも不満そうな顔であたしを見ていた。
不満そうって言うより、ジト~って感じが一番あっているかも。
夕方まで1人でずっとあたしに喋っていて。
女子高生が集まってくる時間になると、男の子と合流して女の子に囲まれてずっとこっちを見ている。
いい加減、諦めるって言葉を知らないのかな?
なんて思って。
今日は、女子高生が集まる時間に行けば、絡まれずに済むかな?
そう思いながら。
いつものように、ファミレスに行こうとしていた。
「蒔宮紗羽ちゃんですね?」
見知らぬスーツ姿の男が2人声をかけてきた。



