お兄ちゃんが大学に行っている間に家を出てきた。

行先なんて考えていなかった。

あてもなく電車に揺られる事2時間半。

隣の県の大きな繁華街。

きっと、お兄ちゃん心配しているだろうな…。

でも、帰る気持にはなれない。

また、お兄ちゃんと二人の生活。

あたしに関わって、また誰かが死んでしまうなんて、もう耐える事なんてできないから。

今までの自分を考えると異常だった。

お兄ちゃんは、異常を超えているけど…。

全てを思い返えすと、自分自身が気持悪くて仕方ない。

この体に、お兄ちゃんがふれていた事。

全てがお兄ちゃんで構成されていたこと。

全部否定したかった。

お兄ちゃんが刻み込まれているこの体。

この血液。

この細胞。

リセットできるものなら、リセットしたかった。

それに、親には嫌われていたから。

あの人達は、せいせいしたと思っていると思う。

今までは、お兄ちゃんがいたからあの家に居られた。

でも…お兄ちゃんの本当の姿を知ってしまったら。

あの家にいる理由なんかない。

少し早く、あの家を出ることになっただけ。

何も考えたくなくて、フラフラと街をうろついていた。

もしかして、お兄ちゃんが探しているかな?

見つかったら、自分はどうなっちゃうんだろう?

とか考えちゃって。

それに…