怖くて震えるカラダ。

一晩中、眠れなくて。

朝焼けが差し込める頃。

カチャッ…

ドアが開く音がすると同時に足音が聞こえた。

ゆっくり布団から顔を出す。

「なんだ、眠れなかったのか?ごめん。医局で寝ちゃったんだ。」

いつもと何ひとつ変わらないお兄ちゃんが、優しく声をかけてきた。

医局になんていなかった。

やっぱり、絢音と会っていたんだ。

いつものように、お兄ちゃんがベッドの脇に座って頭をなでた。

パチン!!!

とっさに、手を払ってしまった。

「どうした?…怒っているのか?」

いつもと違う反応に、ビックリしている。

「…ごめん。」

自分でも分からない。

本能的というか?

生理的というのか?

いつもなら嬉しいはずなのに。

伸ばされた手が血にまみれているような幻覚(げんかく)が見えて。

お兄ちゃんの手が気持ち悪かった。

ねえ…