届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…


「お兄ちゃんは、まだ帰って来ないし…」

タメ息混じりにつぶやいた。

面倒くさいし、パスワード分んないし…

最後のひとつの心当たりを打ち込んで終わりにしようとした。

お兄ちゃんが3人を殺したなんてあり得ないもん。

噂なんてそんなものだよね。

気だるくキーボードに最後の心当たりを打ち込んだ。


【9GATU4KKA】


お兄ちゃんが、家に引き取られてきた日。

人生で、初めてお兄ちゃんとあたしが出合った日。


『Enter』


押した瞬間、パッと画面が切り替わった。

やっぱり。

お兄ちゃんも大事な記念日だったんだ。

なんて、ちょっとうれしくなった。

ロックが解除されて、デスクトップ画面が映し出されている。

そこには、いくつかのフォルダに別れている。

日記。

データ。

写真。

GPS。

メモリー。

まさか、浮気写真?

なんて思って、一番最初に開いてみた。