ソファに座ると霧生くんの手を握った。

霧生くんの大きな手は小さく震えていた。

「ゆっくりでいいから…。ガマンしないで。泣くだけ泣いて話して。」

涙をこらえる霧生くんの目を見て、ゆっくりと言った。

「…ありがとう。」

あたしの手を握り返すと、うつむいたまま声を殺して泣き出した。

……震える肩。

ポタポタと握った手に落ちる涙。

ずっと我慢していたんだ。

泣きたくても泣くわけにいかない。

こらえて押し殺して。

間違いだったと冗談だったって。

そう思いたかったのかもしれない。