「お兄ちゃん!?」

「紗羽?」

お兄ちゃんも少し驚いた感じ。

「何やっているの?」

まさか、お兄ちゃんが病院にいるなんて。

今日は病院に用事はないはずでしょ?

「紗羽こそ…小児科に何か用事でもあったのか?」

エレベーターから降りてくると、不思議そうに辺りを見回した。

「えっ…?」

どうしよう?

霧生くんのことは言えないし。

ドクン…

ドクン…

緊張のような。

黒くて重たいような鼓動が。

全身を巡っている。

ギュッと握りしめた手。

どうしよう?

お兄ちゃんになんて言ったらいいの?

必死に言葉を探している。

「ありがとうございましたって、さっきのお母さんが言っていましたよ?」

後ろから聞こえた霧生くんの声にびっくりして振り返った。