「ヘリコプター乗せてあげる。って言っても、高校の同級生が操縦士の資格取ったからって、初フライトに乗せてくれるっていう、命の保証のないスリル満点なものだけどね。」
クスッと笑うと、あたしの手を取った。
ヘリコプターに乗るのも初めてだけど。
初フライト!?
怖さ8割、楽しみが2割。
ドキドキとしながら乗り込んだヘリコプター。
ギュッとお兄ちゃんの腕にしがみついたまま離陸した。
夜景が宝石みたいでキラキラときれいで。
いつの間にか怖さなんか忘れて。
ギュッとしがみついていたお兄ちゃんの腕にもたれながら。
霧生くんと冬槻先生も、こんな楽しいデートができたらなんて考えていた。
次の日、昨日のメールのことで文句言ってやろうと思って。
病院に来てみた。
あんまり病院には来ないって約束したけど。
メールだとまた業務的なのしかくれないでしょ?
それに、今日は何時に帰ってくるかも分からないから。
病院の方が話が早い。
「霧生くん、今日はもう帰るの?」
ちょうど、病院の入り口でバッタリ会っちゃって。
「ああ。今日は休みで、忘れ物を取りに来ただけ。」
「そうなんだ。じゃあさ…。」
言いかけたと同時に
「中学生はファミレスね。」
ポンと頭をなでると、そのまま自動ドアから出て行った。
「ちょっと待ってよ!!」
どうしていつもファミレスかな!?
慌てて追いかけると、霧生くんは駐輪場でバイクにエンジンをかけて待っていた。



