背中を向けて眠っているから顔は見えなかったけど。
「ありがとう。」
小さな声でつぶやいた。
そ~っと部屋を出て行くと、ダッシュで家に帰った。
走り続けて12分。
家が近所で良かった…。
なんて、ちょっとホッとした。
何回か深呼吸をして呼吸を整えると、音を立てないように、ゆっくりと玄関のドアを開けた。
親に見つかるからじゃなく、お兄ちゃんに見つかりたくないだけ。
人生初の朝帰り。
それだけでも心は痛むのに。
泊まった先が霧生くんの家。
絶対に言えない。
ズキズキと罪悪感が心に突き刺さる。
「ずいぶんと早起きだね。」
背中越しに優しい声がした。



